学会発表:Inoue Methods的実際

学会発表もいくつか押さえておくべきポイントがあります。個々のものがOriginalというつもりはありませんが、そのまとまり(Cluster)としてInoue Methods作成者の経験を記載します。

学会発表のときに既に論文作成を意識する

後述のConference arrestを防ぐためにも、論文にすることを考えている発表は、Inoue MethodsPaper preparation wheelを回しておきます。また、発表も論文と同じくIMRADに準じて構成します。

 

これは、うかつに発表してアイデアをとられないための防御策でもあります。学会発表時には、それを見て「自分もやってみよう」と思う人が出てくるかもしれません。そう思われても大丈夫なように先行しておくべきです。

発表はパフォーマンスである

学会発表は、パフォーマンスです。学会自体が、公的なお祭りのようなものです。志を同じくする者が集まって、研究自体もそうですが人のつながりも新しく作ったり、広げられる場所です。ですので口頭であれポスターであれ、聴衆に理解してもらい、楽しんでもらうことを考えましょう。

 

・簡潔で分かりやすい提示資料

・明瞭な声

・聴衆に向かって話す

・時間をきっちり守る

そして、

笑顔で行こう!

歌ってもいいんだ!

学会発表は(真の)業績ではない

研究者としての経歴に、学会発表も掲載できます。しかし、本来的ではありません。学会発表は、演題の採択こそ主催者側が選別しますが、それ以上の審査つまり査読を受けません。したがって、信頼に足る情報かどうかが担保できないのです。

 

常に学会発表をしたら、論文にすることを考えるべきです。

 

ちなみに文部科学省の科学研究費(科研費)助成には、学会発表の項目はありません。

Conference arrest

定義:(本来なら)論文にすべき内容の研究を、学会発表だけでお蔵入りにさせること

 

全ての学会発表が論文になりうるわけではありませんが、少なくともその中には論文にすべきものがあるはずです。多く見られるケースでは、学会発表までは行きつくものの、そこから文章にするのが億劫でついつい時間がたち、そのタイミングを失ってしまうというものです。

 

このConference arrestを防ぐには、発表時にすでにPaper preparation wheelを回し始めることです。

 

Inoue Methods@facebookの関連情報

 

ただし悩ましいことに、このWheelを回すためには良き研究指導者につく事です。誰しも初心者から、自分一人でステップアップすることは難しいですから。

発表資料:Simple is best.

Posterであれ、口頭のPowerpointスライドであれ、よく凝って作った資料があります。しかしこれは逆効果です。発表は、発表者の口から出るメッセージが大事で、資料はそのためのものです。

 

スライドの場合

・テキストの色使いは1スライド2-3色までにする

・「見てもらうためのテキスト」しか出してはいけない

・行数のベストは6、許容範囲は10くらいまで(スライド)

・フォントはできるだけ大きく

 

何度も練習し、演台から離れても内容を話せるようにしておきましょう。聴衆に語りかけるように話し、いつのまにかそれを補足する新しいスライドに変わっていくというのがベストです。スライド、あるいはPosterではなく、発表者自身を聴衆の前に出しましょう。

Poster or Oral?

学会発表でPosterにするかOralにするかは考えどころでしょう。

 

Poster

・細部まで記載できるのでDiscussionには良い

・時間の制約がないので、同上

・英会話に不安があってもOK

・作成の費用がかかりうる(Cons)

Inoue Methodsで作成したら論文と同じ構造になる(Pro)

Oral

・度胸がつく

・英語でのプレゼン能力が磨かれる

・やった気になる

・Discussionが深くなりにくい(Cons)

 

上を受けてInoue Methods作成者は、若手の発表に対しては次のように考えます。

・論文作成中はPosterにする

・投稿・出版後はOralでよい