1.COVID-19で得た教訓は何か

(1)次のパンデミック対応のために科学的知見を蓄積する

パンデミックとなったCOVID-19*(原因ウイルス:SARS-CoV-2**)は、甚大な影響を世界にもたらしました。それには議論の余地はないのですが、一方で私は、「冷静になるべき点も既にある」と感じています。

 

このようなパンデミックはいつの日か再び発生するでしょう。というよりは、発生しないと考えるほうが不自然です。「グローバル化した世界」は、疫病を短時間で世界に広げますが、「情報の伝播」も同じです。メディアは、この災厄の情報を瞬時にして伝えますが、より重要なことがあります。それは、「今回のパンデミックから将来の災厄を防ぐための教訓は何か」です。そのため、多くの研究者が様々な視点からこの問題に取り組んでいます。

 

COVID-19は最近起きた危機的疫病であり、いまだ解明する研究は「探索的」にならざるを得ない面があります。それでも、人類のために必要であり、その解明には基礎(医)科学、臨床(医)科学そして社会(医)科学からのアプローチが欠かせません。それらを統合した科学的知見を集積する。これらを元に、今回を含めこれからのパンデミックに各国・地域が有効に対応する術を得られると考えます。