臨床医学入門
New!
http://www.yakult.co.jp/healthist/213/img/pdf/p20_23.pdf
以下に説明している事項と関連して、糖尿病の歴史が記載されています。古くからある病気なんですねえ。
公衆衛生大学院(SPH)で、非医療系学生のための講義で使ったスライドです。担当は「運動系」でそれはDVDを使って講義しましたが、やや概論的なことや、そういう学生がどのように学ぶかのメッセージも入れて作りました。後半部分は医学部の講義内容とほぼ同じです。ですが、教員のトークは随分変えています(笑)
学生のフィードバック
学生A
メールでもらったみんなの感想(抜粋)です^^
「毎週金曜の5限・6限は、医学入門ということで、医療畑でない院生向けに、
医療の基礎を教えてくれる。
今日は、地域医療学が専門の井上和男先生が、
「源氏物語から紐とく藤原道長の人生~藤原道長は糖尿病だった~」
というネタなど、雑学と歴史から入る医学という授業だったのだけど、おもしろ
かった!
...
日本史でもおなじみの藤原実資「小右記」や道長の「御堂関白日記」などを読み
込むと
「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」
を歌った53歳当時、すでに糖尿病の合併症で目がほとんど見えなくなっていた
そうな。
その当時、「飲水病」と呼ばれていたそうだが、小右記や御堂関白日記には、
・のどが乾いて仕方がない=高血糖による浸透圧利尿
・昼も夜も、部下の顔が見えない=糖尿病性網膜症Or白内障
・強い下痢、一人でもトイレにいけない状態
=糖尿病性神経症。失禁状態
という、糖尿病の3大合併症の症状が書いてあるそうな。
そのほかにも、
「いつも胸の痛みが。。。」
=虚血性心疾患(心筋梗塞Or狭心症)
「背中の腫れ物が胸まで広がり、その腫れ物を針でつぶした(おできがいっぱい
できた)」
=免疫機能低下による急性感染症
の症状のほか、
藤原一族のうち、藤原伊尹(これただ)、道隆、伊周も、飲水病で死亡したと記
載されているため、糖尿病の遺伝性疾患であるというお話に結びつ く。
ちなみに、道長さんの最期は、小右記の記載によれば、阿弥陀堂の中で朝夕日中
の3回の念仏を唱え、さらに、自分の寝床のまわりにめぐらせて あった屏風の西
の方(極楽浄土の方向)だけを開け、阿弥陀仏の御手から5色の糸を自分の手に
つなげて引いて、北枕に寝て、最後まで念仏を唱え ながら、62歳の生涯を閉じ
たとのことでした。
そして、このシーンの描写について、
「こと切れた後も、死んだあとにも口が動いて、念仏を唱えているように見え
た・・・」
と藤原実資くんは書いているのですが、井上先生いわく
「これは、死亡直後の下顎呼吸ではないかと思われます。」
※下顎呼吸とは、死を迎える にあたり、呼吸が少しずつ浅くなっていき、徐々に
顎だけが小刻みに動くだけになっていく様子のことを言うそうです。
ということで、死の間際まで、道長公の生涯をきちんと見届けて、後世に書き記
した実資くんの観察力・描写力がわかったのでありました。なお、 道長さんの
死因は、敗血症もしくは糖尿病性昏睡(ケトアシドーシス)のように読み取れる
そうです。
にゃるほど・・・
娘を次々と天皇に入内させ、
紫式部のように知性ある女性を愛人にし、
権勢を誇った道長さんも、
糖尿病で目が見えなくなった自分の死の不安をふりはらうように
詠んだ歌が
「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」
だったんだなぁと、なかなか人生の哀れに思いが至る「医学入門」の世界であり
ました。
ちなみに。道長さんは、日本史で初めて糖尿病のことが記載された例として、
「糖尿病国際学会記念切手」にもなっています。
下記のサイトに、そのレア物切手の写真がのってますが
「道長さんとインスリンの結晶」という非常にマニアックな構図となっております。
いやはや。みなさん、糖尿病には気を付けましょう。
学生B
とっても楽しみにしていましたが、やっぱり期待通り!!!
覚えることが年齢的にきつく・・・毎日実感していた日々でしたので、
でも、いろいろな角度からみること、関連づけて理解すること、
学ぶ楽しさをあらためて教えてもらいました。
地域医療学の授業が楽しみです。
『壁に書かれた一本の線』*
私にとっては、☆Power☆になるような気がしました。
でも、消されちゃうのかな~~~
でもでも、次回また楽しみです。
*ノリまくって講義して、白板にマーカーで書くところまちがって白いきれいな壁に書いちゃいました;; 綺麗に消えたみたいですけど。。。