大学院に入る前に心しておくこと
あなたは大学院に入ることを検討中である。ここではその時に心しておくべきことを記載している。まず念じておくべきは、あなたは学費を払って大学院に入るのだ。大学院は、基本的に研究の場所である。したがって、大学院とくにあなたの指導教官は、あなたに適切な指導をする義務があるし、その能力がなければならない。きちんと客観的に指導体制、指導教官を評価すべきである(失礼な事でもなんでもない)。
1. 大学院の実績を見ること、つまり卒業生がどのような進路をたどっているか(新しい大学院ならまだ実績はないだろう。その場合は2以下を検討する)。
2. 育成する人材像があなたに合致しているか、大学院の資料を読む。しかし資料にはたいてい良いことしか書いていない。資料だけで満足せず、説明会などに参加して実際に質問してみる。
3.最重要! あなたの指導教官になる人の、経歴と指導能力をチェックする。話したことがないなら、入学前に面談をしよう。「失礼ですが(実は失礼もなんでもないが)、先生の業績を読んでここに興味を持ちました。この原著論文について詳しく教えてください」 真の研究者なら喜んで教えるだろう。そして指導教官の(過去ではなくて)現在の研究能力&実践力は、研究指導能力以前に必須である(*1に詳述)。
*1 指導教官は現役でかつ実績のある研究者であるべきである。学科長などで多忙な場合は、実際に指導を受けられるかあらかじめ念を押して聞いておく。指導教官になる人の、「あなたの研究分野」の研究実績をPubMedで探す。最近5年以内で、英文原著筆頭(ないしは真の直接指導共著含んで)5本以上が理想であろう。和文原著(査読付き)は英文より評価できないが、分野によっては良しとしうる、医中誌を調べる。
「指導者本人が過去から現在までばりばり院生の研究分野で仕事をしてなくて、どうして指導できますか?」
要注意点
①指導教官が他分野の出身(横滑り)のことがある。その場合、その分野の研究指導はまず期待できない。
②過去の業績が良くても、例えば5年間その研究分野の筆頭(ないし直接指導)論文がないなら指導は期待薄である。もし10年ないなら、絶望的である。最初からない?、論外です。
③大学院で研究中には、他の優れた研究者の指導を仰いだことが良いこともある。そうしたことを認めるかどう確認しておく。でないと、学業中「籠の鳥」になりかねない。
④その分野の有名人? メディアによく出ている? 一切関係ありません。
⑤教授と言っても、(名誉職みたいに考えているのか)教育指導が好きでない人や、指導能力やそれに足る実績がない人がいます。建前と本音の乖離です。貴重なお金と時間を、無駄にしないようにしましょう。
関連項目:なぜ研究指導者が指導できないのか
じゃあお前はどうなんだ?
と聞かれて答えないのも、フェアではないでしょう。どうぞ、まな板の上の鯉です。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=Inoue%20Kazuo
*1 同姓同名がいるようですが、基礎研究は別人です。Matsumoto M, Kobayashi Y, Inoue M, Akimoto Kなどが共著に入っていたらそれは私です。
*2 古いのはInoue Kでしか探せないようですが、ヒット数が激増するのでしてません。ここ5からせいぜい8年くらい見てもらえれば十分です。
*3 直接指導共著は、第2著者分と考えてください。
*4 糖尿病の発症予防などの疫学、そして医師分布などの社会医学がメインですが、口腔衛生の論文も書いています^^
理系ではなくて文系の大学院に関してのようですが、参考になります。なお、いくつかのコースが記載されていますね。詳しくはサイトを見てください。
「自由放任コース」
「仲よしコース」
「仏門コース」
「心中コース」
「マラソン・コース」
「迷える子羊コース」
IM Mentorが考える理想のコースは、中途半端でない「子羊コース」でしょうか。3-4年間の大学院生活、いろんなことがあって、成長していくものです。教官だってそうだと思いますね。
「人を教えることは、人生を語ること、だから教えることは最大の学びなのだ」
IM Mentorの意見
自由放任ならそれでもいいのだと思います、極端な話ですが、院生があらかじめ承知していれば。一番良くないのは、入学時に「きちんと指導します」と言っておいて(あるいは資料にそう謳っておいて)、放任する場合でしょう。それは約束違反と言うものです。