査読の省力化

多くの若手研究者から、「査読って大変です」という話をもらいます。たしかにそうですね。自分が書いたわけでない文章を逐一読んで、それに評価を与えないといけないのですから。その本質的な部分は同じですが、少しでも時間と労力を節約する方法を考えてきました。言わば、Inoue Methods Reviewです。

Structured Review

全ての査読で、雑誌側の提供したフォーマットでなくて自分が作成したものに書き込みます。4つの部分からなっています。

1.Confidential comments to the editor

 著者に見せない、編集者だけへのコメントです。雑誌側の提供するWeb上のチェックボックスにも、査読結果(受理について)を入れる箇所がありますが、ここで私の場合はもっと率直に記載します。なお、次の2以下は著者も見るコメント、つまりComments to the authorsになります。

2.General comments

 論文全体の評価です。したがって、1の部分もかなり利用します。無論受理についての意見は1から削除します。

3.Major comments

 論文の各要素について主要なコメントです。番号を付けて、トピックごとに記載します。Major 、つまり主という意味は、これらはきちんとResponseされることが必須であるということです。

4.Minor comments

 査読していて気づいた細かい点です。用語の不統一や間違い、図表の細かな問題点などがここにあたります。

査読の省力化

 上記のStructured Reviewは、省力化にもとても有効です。その説明の前に、ここをご覧ください。査読結果の分類

査読結果

1→Confidential comments to the editorのみ記載し、著者らへの部分はNoneもしくはConfidential commentsから喜ばしい評価の部分を抜粋する。素晴らしい論文ということですからそれでOKです。ですが、残念ながらほとんどありません。


2→Confidential comments to the editor、General comments、Major comments、Minor commentsの全てを記載する。良い論文ですから、次で受理を期待しますので。


3および4→Confidential comments to the editor、General comments、Major commentsまで記載する。Minor commentsは、次のリバイスで良くなっていたら記載することでいいです。


5→Confidential comments to the editor、General commentsのみ記載する。Reject論文ですから、これで十分です。

 上記のようにやれば、かなり時間と労力がセーブできます。なお他に、常に同じ査読テンプレートを使用して、最終的な結果のみ雑誌のサイトにそこからコピー&ペーストして査読を提出するほうが、能率的です。

 IM Mentorは、査読にも、おススメフリーソフトウェアであるFitzNoteを使っています。そして、この査読テンプレートを使っています。自由にダウンロードして使ってください。