Evidence based practiceとPractice based research
ここで、読者が目にしたことがないはずはないと思われるEvidence based medicine(Inoue Methods作成者はpractice=「根拠に基づいた医療の実践」を好む→後述)についてResearchとの関連で考えます。
1990年代にEvidence based practiceが紹介されて以来、多くのエバンジェリスト(伝道者)を輩出し、現在では広く認知されるようになったのはその通りです。Inoue Methods作成者は、これまでよくあったEvidence based practiceの意義に対する議論はしません。少なくとも私たちの診療行為についてその意義を考える機会になり、ある意味では臨床という場所での診療行動を再考する大きな流れとなりました。その意義は大きいと思います。
画像出典 研究者はどのレベルでも貢献しうる、たとえ一番底辺でも。そして多くの人々が底辺を支えてこそ、その上は存在しうるのだ。
ですが、Evidenceと呼べるものがないときはどうすればいいのでしょうか。Evidence based practiceでは、基本的にWhat is already known.を基盤として臨床家が判断するのが枠組みです。しかしながら、五十嵐正絃先生がおっしゃったように、「日常診療で答えがまだない」事柄は多いものです。実際はそちらのほうが圧倒的に多いでしょう。
*30年前(Inoue Methods作成者が研修医だったころ)
自分「この受け持ち患者の問題点ですが、調べても資料がないんです」
指導医「ならお前が研究して明らかにしろよ、それが仕事だよ」
この会話はおそらく、時を超えて古くから繰り返されてきたことでしょう。「すでになされたこと」だけを基盤にするなら、結局は目の前の患者の方に生かせるものは限られてしまいます。Practice based researchは、自分が肌で感じた疑問や持った仮説、それがまだ明らかでないことについて、自分が調べるものです。知の円状構造についていうならば、これまでわかっていることよりわかってないことの世界のほうが圧倒的に広く、私たちに知的挑戦の機会を与えています。
「Practice based researchはEvidence based practiceに貢献する」
Researchを行い、Scientific worldにどのような形、レベルであれEvidenceを提供していく、吟味評価をするだけでなく、生産者となって貢献していく、これが大事と思います。特に学究の「学」を目指す人には考えてほしいことです。
「知」の批評家よりも、「知」の生産者になれ
Evidence based practice (medicine)の根幹要素にもResearchがあります(付図)。生産・創造側に少しでも立ったほうが、そのProductの評価もよりよくできると思います。そして残念なことに、その逆はなさそうです。
Evidence based practice (medicine)について
Evidence based practiceについてのサイトです。
この関連ページを読めば概ね全体像がわかると思います。
かなり詳細まで記載されています。
EBRと日本のメタボリック症候群の基準
ここまで、Evidence based practiceに対してどちらかというと厳しい評価をしてきた印象があると思います。といっても、Originalの提唱者には賛同できる面が多いのですが。熱狂すれば、正しい評価を失ってしまいます。
さて、それはそれとして、日本のメタボリック症候群の診断基準は多くの論議を呼んできました。Inoue Methods作成者も最初から「?」と思っていたことが多々あります。ここでは、診断基準の批判的評価という面でまとまっている資料を紹介します。
以下は、診断基準のもととなった論文です。この論文をもとに日本肥満学会が提唱した診断基準を臨床8学会が支持したことで、一気に特定健診・特定保健指導まで突っ走りました。
To be continued.