Practice based research:strength(強み)
Practice based researchの強みですが、以下の2つがあります。
Ecology of Medical Care
・Generality(一般性)
Practice based、つまり実際の現場から発しているので、狭義の医療に限定する必要はありません。福祉や介護、そして看護など、人々の健康問題に関することであれば、全てPractice based researchとなります。そして、疾患や健康問題に限定する必要もありません。人々の暮らしの中に、私たちが関わること全てが対象となりうると思います。
再度述べますが、地域の人々や第一線の医療機関(First contact)などの場所での研究は、その対象集団の一般性に利点があります。大学病院などの3次医療機関などと違って、Selectionがそれほどかかりません。
例えば、コホート研究で取り上げた論文ですが、これは人口約3,500人の村である時点で65歳以上、住民基本台帳に登録された1,000名あまりの全高齢者を対象にしています。死亡と言うアウトカムで見た5年間の追跡率は86%でした。研究疑問はある意味で言えばごくありふれたものかもしれません。しかしながら、地域の対象住民全員を追跡し、この追跡率を得たという意味で、評価されたのだと思っています。
この有名なWhiteのHealth Care Ecology Model*ですが、これは研究にも適合できます。この色分けされたキューブは、例えば赤(住民全体)、黄(潜在的な健康問題?)、緑(プライマリ・ケア)と想定してもいいでしょう。一方、高次医療機関は黒や灰色です。どちらのほうが、より地域の現場での事象に近いかは、言うまでもないでしょう。
*日本におけるこのModelについては福井らのグループが優れた論文を出しています(もっと評価されていいと思います、和文での要約・関連文献)。
Scalability(拡張性)
Inoue Methods作成者は、Practice based research(PBR)の本質をこう考えています。
そのベースが、リアルでしかも研究者は研究の全ての局面に関わります。したがって、そこで経験したことは、研究の規模がどんなに変わっても対応できるものになります。
学位取得を例にとります。学位審査の主眼は、「その研究者が、独り立ちして研究ができるか」ですが、それ故チェックするのは、学位申請した当該研究の全てにその研究者が関わったかどうかです。
PBRは、それについて最初から回答を持っています。「そのとおりなのですから」
提示例
同じ研究疑問でしたが、こう進化しました。研究A→研究B しかしながら、研究者の想いは不変です。
Inoue Methods作成者が、バックグラウンドストーリーを語っています。