もう1つの投稿雑誌選定基準

投稿雑誌から来られてようこそ!

 

「作成論文に合った投稿を受け付ける雑誌を選ぶ」

 

どういうことかというと、基本4点セットを作った時点で大体論文のサイズ(語数や図表の数)が決まります。若手研究者が論文を作成しているなら、指導者はわかるでしょうから、若手に教えるべきです。その上で、その論文のサイズに合った投稿既定の雑誌を選びます。著者らが素直に作った論文のサイズでそのまま投稿できるのが一番、ロスが少ないですから。

 

例えば英文論文を例にとると、Title,Abstract, Main textを含めての語数を投稿既定に通常は掲載します。もし作成する論文が3500語くらいになるなら、その語数を原著として受け付けている雑誌にします。原著では3000-3500語位が通常ですが、なかには2500語以内というものもあります。3000語から2500語に減らすのはかなりの作業が必要ですし、もし3500語から2500語となると、論文の構成自体が変わってしまいます(それでもなお、構成要素は入れないといけない)。下記は、そのサンプルです。概ね、3000語を目安にしておくと間違いはありません。

 

Diabetic Medicine

Original Articles Original research studies of relevance to diabetes mellitus science and practice. Clinical science and clinically relevant basic science papers will be considered. Maximum length 3000 words, with 30 references.

 

傾向としては、原著や総説といえど、短くなる傾向にあります。読者を考えれば当然です、Small is beautiful.です。

 

Inoue Methodsではできるだけ無駄とロスを予防する、我々は忙しい!

 

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2つ目の投稿雑誌選定基準(経験者のために)

ここでは、同じ分野の論文を複数投稿する場合のアドバイスです。

 

「これまでに受理された雑誌にする」

 

雑誌側も人の手で作られ、運営されています。著者らの論文が受け付けられたということは、少なくともある一定の評価を受けているということと、EditorやReviewerの(いくばくかの)好感や相性が良いということを示しているかもしれません。無論そうでもないのかもしれませんが、投稿側が探知したりコントロールできない因子は、良さそうなほうにするのが賢明といえます。

 

Inoue Methods作成者の例

疫学研究ではよく糖尿病をDiabetic Medicineに投稿しています。空腹時血糖とHbA1cの組み合わせで糖尿病の発症を予測した論文ですが、一番最初はNew England Journal of Medicineに投稿しました。門前払いは受けず、3人から査読を受け、結果を簡単に言うと「レジェクトします」でした。査読を受けて、よろしくない箇所を指摘され、確かにその通りでした(門前払いされる投稿は得るものもなく時間の無駄→「危ない研究指導者」)。その後、そういう箇所を訂正して、ADA(米国糖尿病学会)のDiabetes Careに投稿しました。

 

その結果はMajor Revision(大幅修正)でした。ですが、Major Revisionの中でも厳しいほうで訂正箇所が多く、かつ再解析をかなり要求され、その割りに期限は1ヶ月、おまけにタイミングが悪いことに年度末の3月、仕事がどっさり。。。。

 

それで考えて、投稿を取り下げて(Withdrawといいます)* 、UK(英国)Diabetes SocietyのDiabetic Medicineに投稿しました。その結果、Major Revisionではあったものの好評価で、かつ期限も少し寛容で対応可能でした。それ以来、Diabetic Medicineに投稿しています。おそらく雑誌側でも、一度掲載した論文の著者陣には、一種の信用のようなものが生まれるのかもしれません。Diabetes CareとDiabetic Medicine、実はImpact Factorは違うのですが、少なくとも自分にとって問題はそこではなくなっています。その後、この関連研究でさらに2本、論文をDiabetic Medicineで掲載することとなりました**。

 

*論文の取り下げはEditorial office(編集局)へのメールで可能ですが、必ず相手の了承を確認しておきましょう。でないと二重投稿となる危険があります。

**論文が掲載された雑誌からは、査読を頼まれるようになります。 むろん積極的に対応します。査読は無論業績にもなりませんし、手間も時間もかかります。しかし研究者としての責務です。(部下のものをを含めて)論文はどんどん出したい、しかし査読は嫌だというのは片手落ちです。

なお、Evidence based practiceとの関連で言えば、論文の読み方としては対照的です。前者が批判的読み方を通じて論文のエッセンスを「有用か、目の前の患者に適応できるか」の視点でそぎ落とすのに対し、後者(査読)はたとえレジェクトの決定であっても教育的査読の要素を入れて著者をencourageしていく。Scientific worldの形成にわずかでも関わることができます。

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